TRADE MARK TOPICS 商標お役立ち情報
事例紹介
2025.12.15
結合商標の一体性に関する審決 [弁理士 服部 京子]
結合商標について、構成全体として一体であり一部の要素のみを抜き出さないと判断された審決をご紹介します。
【種別】 拒絶査定不服の審決
【審判番号】 不服2024-8746
【本願商標】

第9類「電子出版物」 第16類「印刷物,文房具類」
第41, 45類 指定役務省略
【引用商標1】
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第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」
第16類「印刷物,写真,写真立て」
【引用商標2】
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第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」
第16類「印刷物,写真,写真立て」
【適用条項】 4条1項11号
【結論】 本願商標は、登録すべきものとする。
本願商標について (下線は筆者、以下同様)
本願商標の各構成要素はいずれも近接した位置に配されていることに加え、本願図形部分の上端と「世界をつなぐ。未来をつくる。」の文字の上端、並びに、「ISA」の文字の下端と「Immigration Services Agency」の文字の下端がそれぞれそろうように配されていること、「ISA」の文字部分と「Immigration Services Agency」の文字部分のそれぞれの構成文字の書体はほぼ同一のものであること等から、本願商標は外観上まとまりよく一体的な印象を与えるものといえ、さらに、上記のとおり、「ISA」の文字は、行政機関名称を英語表記した各単語の頭文字を表したものと理解されるものであることを踏まえれば、「出入国在留管理庁」の文字及び「Immigration Services Agency」並びに「ISA」の文字を関連付けて理解し、認識するというのが相当である。
本願商標の構成中の「ISA」の文字は、行政機関名称を英語表記した各単語の頭文字を表したものであり、行政機関名称と関連付けられて認識されるものであることから、本願商標は、これに接する取引者、需要者は、殊更「ISA」の文字部分にのみ着目するというより、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し、把握されると見るのが自然であり、「ISA」の文字部分のみが、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえない。
ほかに、本願商標の構成中の「ISA」の文字部分のみが、取引者、需要者に対し、自他商品・役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情も見いだせない。
以上からすれば、本願商標から「ISA」の文字部分を分離、抽出し、この部分だけを引用商標と比較して、類否判断をすることは許されないというべきである。
コメント
必ずというわけではありませんが、略称の正式名称も商標中に含まれる場合はしばしば一体的とみられることがあります。もちろん、審判にて争われているとおり少なくとも拒絶査定は出されていますし、審判で拒絶が維持されているケースも多く、全ての件に適用できるものではありませんが、さまざまな観点から参考になる審決だと思います。
【種別】 拒絶査定不服の審決
【審判番号】 不服2024-13863
【本願商標】

第25類「被服」 他
【引用商標】
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第25類「被服」 他
【適用条項】 4条1項11号
【結論】 本願商標は、登録すべきものとする。
本願商標について
その構成は、四角形内に図形と文字とがバランス良く配置されているものであって、全体としてまとまりよく一体に表されているものである。
請求人の主張及び職権による調査によれば、本願商標は、請求人が運営するハンバーガーチェーンである「ドムドムハンバーガー」のロゴであり、当該ハンバーガーチェーンは、2024年4月現在で全国に27店舗を有しており、「【Z世代が選ぶ】「一番好きなハンバーガーチェーン店」ランキング」と称するウェブ上の記事において、当該ハンバーガーチェーンが5位にランクされていることが認められる。
本願の指定商品とハンバーガーの需要者は、いずれも一般の消費者であり、両商品の需要者が共通することを踏まえると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、当該ハンバーガーチェーンを認識するとみるのが相当である。
本願商標は、当該ハンバーガーチェーンを表すものとして、構成全体を一体のものと認識されるというべきである。
本願商標の構成中「DOMDOM」の文字部分を分離、抽出した上で、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定の判断は、妥当なものとはいえない。
コメント
ドムドムハンバーガーの知名度が一定程度考慮され、全体として一体の商標であると判断されています。本願の指定商品である「被服」の需要者とハンバーガーの需要者は、いずれも一般の消費者であるとして需要者が共通しているという思い切った判断をしているように思いますが、やはりある程度の知名度のある商標は、それが有効に働くことを示唆する案件です。
※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。