TRADE MARK TOPICS 商標お役立ち情報
豆知識
2025.11.15
【商標Q&A 第26 回:ブランディングって何ですか(その3)】
Q: 我が社は今までブランドというものを意識していなかったのですが、付き合いのある経営コンサルタントから、「社長、せっかく良いものを作っているのですから、ちゃんとブランディングしないとダメですよ」とアドバイスをもらいました。「ブランディングって何をするのですか?」と質問しても、「それはブランディングの専門家に聞いてください。私はそちらの専門ではないので…」とはぐらかされてしまいました。ブランディングって、一体何を意味する言葉で、何をすればいいのですか?
A: さて、(その1)ではブランディングやブランドの意味について解説いたしまして、(その2)では想いの確認からブランドアイデンティティの策定といった部分について簡単にお話をさせていただきました。今回はいよいよ「商標」などが登場することになります。
私たちはこういうブランドです、こういった商品やサービスをお届けします、という想いをしっかりと持っている場合、それを正しくお客様に伝えていく必要があります。また、その商品やサービスを必要としているお客様に自分たちのブランドを思い出していただかないといけませんし、自分たちのブランドが好きなお客様には数ある競合の中から自分たちのブランドを正しく選んでもらわないといけません。そのためには、ブランドに名前をつける必要がありますし、ロゴマークや色、商品ブランドであれば製品やパッケージのデザイン、音やジングルなど、ブランドを形作る要素(ブランド要素)を正しく設計していく必要があります。
例えば、子供向けのブランドなのに子供が読めない外国語の名前をつけてしまったり、高級ブランドなのに洗練されていないパッケージデザインにしてしまったり、爽やかなブランドなのに聴く人を不安にさせる不協和音を使ったジングル(サウンドロゴ)にしてしまったり…。ブランド要素は、企業側の好みで自由に設計するのではなく、どういうブランドであって、どういう顧客にどういう想いを伝えたいのか、その点を意識しながら設計する必要があります。先程の例でいうと、子供向けのブランドであれば子供に親しんでもらいやすい名前にする、高級ブランドであれば洗練されたパッケージデザインを採用する、爽やかなブランドであれば聴く人を爽快な気持ちにさせるジングル(サウンドロゴ)にする、といった具合ですね。
これらブランド要素は、「あ、あのブランドだ」とお客様に気づいていただく目印として機能します。ここで思い出していただきたいのが、「商標=ブランドの目印」ということ。つまり、これらブランド要素の多くが商標として機能する、ということなんですよね。ということは、商標調査をせずに好き勝手にブランド要素を設計すると、他人の登録商標と似ているブランド名を採択してしまう、ということにもなりかねません。また、パッケージデザインなどは他人の登録意匠にも注意を払う必要があります。そのため、ブランド要素を設計する上で、知的財産権の調査は不可欠であるといえます。
また、せっかく作り上げたブランド要素を他人にそのまま使われたり、似たようなものを採択されたりしてしまうと、ブランドの独自性が失われてしまいますし、お客様や流通業者も混乱してしまい、ご迷惑をお掛けしてしまうことになります。更に、こちらがブランド要素を知的財産権で守っていないと、それを奇貨として、同業他社がこちらのブランド要素について権利を取得してくることも想定され、そうなると大変です。そのため、大切なブランド要素は、しっかりと商標権や意匠権で守っておくことが肝要です。ブランド要素の適切な保護なくしてブランドの成長は望めません。
今回はブランドを形作る最小要素であるところの「ブランド要素」と「知財」の関係について簡単に解説させていただきました。本当は、ここに「自他商品役務識別力」などが関係してきますし、商標権や意匠権以外に著作権なども意識しておかなければいけません。さらに、ブランドに関係する知的財産権はこれらだけではなく、特許権もとても大切なポイントになってきます。ただ、ブランドの話が続きましたので、そろそろブランドはお腹いっぱい!と感じている方も多いかと思います。そのため、ブランドの話は一旦ここでお休みとしまして、次からは違うテーマでお話ができればと思います。ブランドやブランディングについてもっと話を聞いてみたいよ、という方は、お気軽に当所までお問い合わせくださいね。
※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。