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事例紹介

2023.06.15

結合商標の類否に関する審決 [弁理士 服部 京子]

結合商標の類否に関する審決 [弁理士 服部 京子]

今回は結合商標の類否に関する審決をご紹介します。

【種別】   拒絶査定不服の審決

【審判番号】 不服2022-5579

【本願商標】   

     

35類「マーケティング,広告業,トレーディングスタンプの発行,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,企業のエンジニアの人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」他

第42類「コンピュータシステムの開発・設計・作成又は保守に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,人材派遣によるインターネットにおけるホームページの設計・作成,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」

【引用商標】 

 
(第5908247号

35類「広告業,広告に関する助言又は情報の提供,商品の販売・役務の提供促進のための展示会・見本市・展覧会の企画・運営又は開催,事業の管理・運営及びこれらに関する助言又は情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,商品の売上管理・在庫管理・物流管理・顧客管理及びこれらに関する情報の提供,トレーディングスタンプ又はポイントカードの発行・管理・清算及びこれらに関する情報の提供」他

第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する情報の提供,ウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関する情報の提供,インターネットによる検索エンジンの提供,電子計算機用又は携帯電話機用プログラムの提供及びこれに関する情報の提供,電子計算機の貸与」他

第16,36,37,39,41,43,44,45類 省略

【適用条項】   4条1項11

【結論】    本件審判の請求は、成り立たない。

【当審の判断】
本願商標について(下線は筆者、以下同様)
上段の「変わることに」の文字と中段の「ワクワクできる社会を。」の文字は、同じ大きさ及び書体をもって表され(以下「本願日本語部分」という。)、一方、下段の「Be the Change.」の文字(以下「本願欧文字部分」という。)は、本願日本語部分とは文字種が異なる上、文字の大きさ及び書体も明らかに相違するものであるから、本願商標は、視覚上、本願日本語部分と本願欧文字部分とに、分離して看取されるものである。

また、本願日本語部分は特定の観念を生じるものではなく、本願欧文字部分は、「その変化になりなさい」との観念が生じるため、これらは観念上のつながりがあるとはいえないものであり、また、いずれかが本願の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとする等の特別な事情も認められないものである。

そうすると、本願商標は、構成中の本願日本語部分と、本願欧文字部分とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであり、両者は、それぞれが独立して出所識別機能を有する要部となり得るものである。

引用商標について
その構成中、引用図形は、文字部分とは異なる色彩及び態様をもって表され、また、上段の「BE」及び「THE」の文字と中段の「CHANGE」の文字は、同じ大きさ及び書体をもって表され(以下、「BE」、「THE」及び「CHANGE」の文字を合わせて「引用欧文字部分」という。)、さらに、下段の「さぁ、街から世界を変えよう。」の文字(以下「引用日本語部分」という。)は、引用欧文字部分とは文字種や構成が異なる上、文字の大きさ及び書体も明らかに相違するものであるから、引用商標は、視覚上、引用図形、引用欧文字部分と引用日本語部分とに分離して看取されるものである。

また、構成中の引用図形は、特定の意味合いを表すものとして認識されるものではないことから、特定の観念を生じないものであり、引用欧文字部分は、「その変化になりなさい」との観念を生じ、また、引用日本語部分は、特定の観念を生じるものではないため、これらは観念上のつながりがあるとはいえないものであり、さらに、引用図形、引用欧文字部分及び引用日本語部分のいずれかが、引用商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとする等の特別な事情も認められないものである。

そうすると、引用商標は、構成中の引用図形、引用欧文字部分及び引用日本語部分とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないから、これらは、それぞれが独立して出所識別機能を有する要部となり得るものである。

判断
本願商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にするものであり、外観において差異を有するものの、その差異の印象はさほど大きいとはいえないものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。

【種別】   拒絶査定不服の審決

【審判番号】 不服2022-10501

【本願商標】

 

30類「羊羹」

【引用商標】 

 (第6335210号

30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」他

9,14,16,25,28,41類 省略

【適用条項】   4条1項11

【結論】     本願商標は、登録すべきものとする。

【当審の判断】
本願商標について
本願図形部分と本願文字部分とは、視覚的に分離して看取される構成であって、また、これらが一体となって特別な観念を有する、若しくは一連一体の称呼が生じるなど、何らかの関連性を有しているともいえないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難く、本願商標は、本願図形部分と本願文字部分とがそれぞれ独立して自他商品を識別する機能を有するものといえる。

そこで、本願文字部分についてみるに、「Fly Me to The Moon」及び「羊羹ファンタジア」の文字は、これらが一体となって何らかの意味合いを生ずるとはいい難く、また、これら各文字が、本願の指定商品との関係において、商品の品質、原材料を表す等自他商品を識別する標識としての機能を有していない、若しくは弱いものと認める事情もないから、各々が独立して自他商品を識別する標識としての機能を有するものといえる。

したがって、本願商標は、「フライミートゥザムーンヨーカンファンタジア」、「フライミートゥザムーン」及び「ヨーカンファンタジア」の称呼を生じ、「私を月まで飛ばして」の観念を生ずるものである。

引用商標について
引用上部文字部分は、引用下部文字部分と比較して顕著に目立つ大きさにて表されていることから、視覚上、最も強く看者の注意を引くものといえ、当該文字部分が、取引者、需要者において強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから、引用商標は、その構成全体をもって認識し、把握されるとともに、引用上部文字部分が、独立して、取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たす場合もあるといえる。

なお、引用下部文字部分は、引用上部文字部分に比べ極めて小さく表され、前記したように、図形部分の中央に位置する結び切り部分の左側に「FLY ME TO」の文字を、そして、右側に「THE MOON」の文字を配した構成よりなることから、図形部分と一体的な印象を与えることも相まって、看者に対し強く支配的な印象を与える引用上部文字部分を捨象して、殊更に、引用下部文字部分をもって取引に資するということは困難である。そうすると、引用下部文字部分からは、自他商品の識別標識の機能としての称呼及び観念は生じない。

したがって、引用商標は、構成全体から「トニカクカワイイフライミートゥザムーン」の称呼を生ずるほか、引用上段文字部分から、「トニカクカワイイ」の称呼をも生ずるものであり、いずれも特定の意味合いを認識するものとはいえないから、特定の観念は生じない。

判断
外観については、構成中に、本願商標は「Fly Me to The Moon」、引用商標は「FLY ME TO THE MOON」のつづりを同じくする文字を有する点において共通するが、その他の構成文字を異にし、また、構成される図形の特徴が顕著に異なることから、外観上、判然と区別し得るものである。

本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

 結合商標では、単に単語と単語を結合したものから、様々な要素から複合的に構成されているものまで様々あります。後者の場合、その要素の一部が共通することはしばしばありますが、その判断に際しては、審決でも触れられているように、その部分が独立して自他商品を識別する標識としての機能を有するか、という部分がポイントになります。

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