TRADE MARK TOPICS 商標お役立ち情報
事例紹介
2025.04.15
不使用取消審判における、「アプリによるオンライン授業」の第42類該当性判断 [弁理士 清水 三沙]
【審判番号】取消2023-300706
【審判請求日】令和5年9月28日
【確定日】令和7年1月27日
【請求人】株式会社 新学社
【被請求人】株式会社 ユニファイン
【審判請求対象商標(本件商標)】登録第6167170号「とも学」
【審判請求対象役務】第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,コンピュータウィルスの侵入防止用プログラムの設計・作成・保守又はそのプログラムの提供」
本件は、本件商標「とも学」の第42類の一部指定役務に対し、不使用取消審判が請求された事件です。
被請求人(商標権者)は、コンピュータシステムの企画・設計・開発・販売レンタル及びメンテナンスを行う株式会社であり、主として「とも学」という名称を付した、自社が構築したアプリケーシを学習指導塾等に提供していました。
被請求人は、企業紹介サイト「try.h-osaka.jp」において、「「とも学」を活用し、オンラ イン授業。」、「場所を問わずオンライン授業ができる「とも学」」などと記載することにより、「とも学」 と題するシステムを用いることにより、オンライン授業を可能とする旨を紹介しており、当該広告が被請求人の提供する本件アプリケーションの提供に係る広告であり、当該行為が商標法第2条第3項第8号に定める商標の使用に該当すると主張したことから、当該使用が取消請求役務に該当するかどうかが争われました。
【当審の判断】
第4 当審の判断
(2)使用商標及び使用役務について
使用役務はオンライン授業であるから、取消請求役務(第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,コンピュータウィルスの侵入防止用プログラムの設計・作成・保守又はそのプログラムの提供」)に使用商標1及び2が使用されたとは認められない。 仮に、使用役務であるオンライン授業が、本件アプリケーションを介して行われたものであったとしても、 本件アプリケーションは使用役務(オンライン授業)の提供において付随的に提供されたにすぎないものであるから、結局、取消請求役務に使用商標1及び2が使用されたとはいえない。したがって、たとえ、使用商標1及び2が本件商標と社会通念上同一の商標といえたとしても、取消請求役務について使用したとは認められない。
【コメント】
近年はアプリを用いたサービスの提供が当たり前になっていますが、アプリを用いてサービスを提供する場合、アプリの提供に関するメインサービスに加え、第42類の「電子計算機用プログラムの提供」等の役務が必要かどうか悩む場合があります。
本件のように、アプリの提供がサービスを提供する際の「付随サービス」に該当する場合、つまり、メインのサービス料とは別にアプリ利用料が発生しない場合、第42類の権利化の必要性は低くなります。
この点を明示した審決があまりないため、本件は、アプリを使ってサービスを提供する際に第42類の役務も権利化が必要かどうかを検討する際の参考になります。