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豆知識

2026.02.15

【商標Q&A 第28回:クローバーの図形は要注意?】

【商標Q&A 第28回:クローバーの図形は要注意?】

Q: 当店は洋菓子を販売しています。お店のイメージカラーがグリーンですので、今般、シンプルな緑色のクローバーをモチーフにした商標を新しく採択しようと考えています。先行する商標に類似するものがなければ問題なく登録できますよね。

A:はい、原則としてはご理解の通りですが、少しだけ注意も必要です。

 出願した商標は、指定する商品や役務との関係においてしっかりと自他識別力を発揮できる要素から構成される商標であるかどうか(登録要件/商標法3条1項各号)という点に加え、他人の私益(既存商標権など)を害する商標かどうか&公益を害する商標かどうか、という点も審査されます(不登録事由/商標法4条1項各号)。クローバーをモチーフにした商標は、洋菓子との関係において識別力を発揮すると考えられることに加え、商標調査をすれば他人の私益を害するかどうかも事前確認が可能です。では、公益的な観点からの登録性はどうでしょうか。

 実は、商標法4条1項2号において、「外国の紋章や記章(経産大臣が指定するもの、国旗を除く)」に似ている商標は登録を受けることができない旨が規定されています。そして…緑色のクローバーの図形はアイルランドの記章として大臣指定を受けておりまして、同号における保護対象となっています(告示番号:258-4)。

 4条1項2号の怖いところは「指定商品や指定役務とは関係なく」適用されるところにあります。パソコンでも、洋菓子でも、英語塾でも、上記に似ているクローバー図形の商標を出願すると、4条2項2号に基づく拒絶対象になります。過去には以下のような商標が類似と判断されて登録取消や拒絶査定となっています。

 また、同様のケースとして、以下に示す赤いカエデについてもカナダの記章として以前は大臣指定を受けておりましたが(告示番号228)、J-PlatPatの不登録標章検索で確認する限り、現在は大臣指定から外されているようです。

 カエデ図形を含む商標については、例えば以下のような商標が4条1項2号を根拠として拒絶されている事例がありました(いずれも不服審判を経て登録)。カエデ単体の図形が大臣指定から外れたとあれば、今後はこのような事例はなくなるのでしょうね(もちろん、カナダの国旗には別途注意が必要です)。

 では、大臣指定を受けている外国の紋章や記章は登録ができないとして、使用については可能でしょうか。これは前回のQ&Aで取り扱いましたよね。そう、「不正競争防止法」において、外国の国旗や紋章を商標として使用することが禁じられています(不競法16条「何人も、外国の…紋章その他の記章…と同一若しくは類似のものを商標として使用してはならない。」)。よって、使用も不可、ということになります。

 こういった「公益的な観点からの不登録標章」に類似するという拒絶理由は、普段ほとんど目にすることがありません。そのため、ついつい忘れがちになってしまいますが、商標を担当する弁理士さんや知財部員さんにおいては知っておいて損することのない知識かと思います。次回以降もしばらくはこの「公益的不登録事由」について取り上げていきたいと思いますので、よろしくお付き合いくださいませ。私の好きな分野なのです(笑)

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

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