TRADE MARK TOPICS

事例紹介

2025.07.15

図案化された商標の類否判断 [弁理士 服部 京子]

図案化された商標の類否判断に関する審決をご紹介します。

【種別】    拒絶査定不服の審決
【審判番号】  不服2025-734
【本願商標】  MUST(標準文字)
41類「学習塾における教授,技芸・スポーツ又は知識の教授」他
【引用商標3】 
41類「教育,学校による教育の提供,通信教育,技芸・スポーツ又は知識の教授」他
【適用条項】  4条1項11
【結論】    本願商標は、登録すべきものとする。

引用商標について (下線は筆者、以下同様)
引用商標は、別掲のとおり、フィラメントの部分を通常のコイルの形状とは異なる形状にした電球を表したと思しきイラストの周囲に放射状に6本の手描き風の線を配してなる図形からなるところ、これらはいずれも同色の同じ線種で表されていて、外観上まとまりよく一体的に看取されるものであることに加え、一見何らかの文字を表したようにも見えるフィラメントの部分も図案化の程度が高く、直ちに特定の文字を表したものと認識されるというよりは、全体としてデザイン化された電球の形状を表したものと認識されるというのが相当であることから、引用商標は不可分一体のものとして認識され、把握されるといえるものである。

結論
引用商標の構成中、電球のフィラメントを表したとおぼしき部分が「MUST」の文字を表したものと認識されるとし、引用商標から当該部分を分離、抽出した上で、中略本願商標と引用商標の構成中のフィラメントの部分は、称呼及び観念を共通にする類似の商標であるとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は取消しを免れない。

コメント
 引用商標の電球のフィラメント部分の文字については「must」の文字を看守しうる態様であるものの、図形と一体化していることも相まって特定の文字を表したものではない(特定の称呼は生じない)と判断されています。引用商標権者の立場に立てば、例えば品質保証マークのようなものを意図していたならともかく、商品名を意図した商標であるならば、文字商標としての権利取得も検討すべきであった事案であると考えます。

【種別】    拒絶査定不服の審決
【審判番号】  不服2024-17295
【本願商標】  
37類「建設工事」他
42類 指定役務省略
【引用商標14】 
37類「土木一式工事,建築一式工事」
*他の引用商標に係る拒絶理由は指定商品等補正により解消
【適用条項】  4条1項11号
【結論】    本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標について
本願商標の構成中、下段の「ヤマト」の片仮名部分は、上段の文字に比して大きく、一部をデザイン化して表されており、視覚上需要者の注意をひきやすく、また、上段と下段に観念的なつながりもなく、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものではないから、本願商標から「ヤマト」の文字部分を要部として抽出し、これと引用商標14とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。

 そうすると、本願商標は、その構成文字全体から生じる称呼の他、要部である「ヤマト」の文字部分に相応して、「ヤマト」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。

引用商標について
引用商標14は、別掲3のとおり、相当崩した書体で、片仮名「ヤマト」の特徴を有する文字を、左右に切り込みのある横長長方形の外枠と一体化した構成で表してなるものであり、一見して「ヤマト」と判読しづらいものである。また、片仮名「ヤマト」の文字は「山人(山で働く人。きこり。)」、「大和、倭(旧国名等)」等の複数の意味合いを想起し得るものであって、一義的に特定の意味合いが確定されるものではないから、直ちに特定の意味合いを認識させるものではない。

そうすると、引用商標14は、その構成文字に相応して、「ヤマト」の称呼を生じ得るが、特定の観念を生じない。

類否判断
 本願商標の要部と引用商標14を比較すると、外観において、デザイン化(本願商標の要部及び引用商標14は、上記ア、イのとおり、それぞれ特徴的なデザインで表されている。)及び色彩の相違等において、視覚的な印象が著しく異なり、外観上、見誤るおそれはなく、判然と区別し得るものである。

 両商標は、観念において比較できず、称呼を共通にするとしても、外観において判然と区別し得るものであるから、それらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当であり、類似する商標とは認められない。

コメント
 引用商標は「一見して「ヤマト」と判読しづらいものである」とされつつも、「ヤマト」の構成文字が看守され称呼も生じると判断された事案です。しかし、結論としては外観における違いが大きなポイントとなり、非類似の判断がされました。この事案についても、引用商標権者の立場からすると、文字商標の取得の検討が必要な事案であったと考えます。

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

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