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事例紹介

2025.07.15

ROBOT SHOP事件 [弁理士 島田 尚子]

ROBOT SHOP事件 [弁理士 島田 尚子]

令和2年(ワ)第7918号 商標権侵害差止等請求事件
判決言渡日:令和5年12月14日
判決文:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/597/092597_hanrei.pdf
原告:ヴイストン社
被告:ロボショップ社


【事件の概要】
原告が保有する登録商標「Robot Shop」について、被告が同一又は類似の標章を用いてロボット関連商品等を販売した行為が、商標権を侵害するとして、差止めおよび損害賠償を求めた事案です。

【主な争点】
① 禁反言の適用(出願経過の考慮)
本件において特に重要な争点となったのは、「禁反言」の法理が適用されるかどうかという点です。原告は、本件商標の登録出願に際して、審査の過程で識別力を否定する拒絶理由通知書を受け、「工業用ロボット」などの指定商品を自ら削除しており、その結果、これらの商品は登録商標の保護対象から除かれた形で登録されています。裁判所は、このような経緯を踏まえ、一度削除された「工業用ロボット」等と類似する商品(ロボット類似品)については、後になって第三者に対して商標権侵害を主張することは、信義則上(民法第1条第2項)許されないと判断しました

この判断により、被告が販売していた商品のうち、削除された指定商品と類似するドローンや無人機などについては、商標権侵害は成立しないとされました。

② 商標の類似性と商品・役務の類似性
次に争点となったのは、被告の使用していた「RobotShop」という標章が、原告の登録商標「Robot Shop」と類似するかどうか、また被告の商品が登録商標の指定商品と類似するかという点です。裁判所は、両者の標章は称呼、外観、観念のいずれにおいても類似するとし、また、原告の商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」が被告商品の「ドローン用部品」や「3Dプリンタ」と類似すると判断しました

したがって、この部分については商標権侵害が成立するとして、差止めと損害賠償が認められました。

【コメント】
「禁反言」については、手続補正との矛盾を理由に適用されたことは、今後、削除補正を行う際に、十分に考慮すべき点かと思います。

また、商品の類似性についての裁判所の判断は、類似商品・役務審査基準における類似群コードなどに沿って厳密に解釈される特許庁の判断とは一線を画しており、被告など当事者が主張していないとはいえ、法令や最高裁判例に沿って定められた類似商品・役務審査基準を全く考慮せずに判断されることには違和感を覚えます。このような判断がなされる可能性も考慮して、特に重要な指定商品等の記載は、個別具体的に記載し、権利範囲を明確にしておくべきかと思います。

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

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