TRADE MARK TOPICS

2026.07.28

商標の類否判断に関する審決 [弁理士 服部 京子]

 商標の類否判断に関する審決をご紹介します。

【種別】    拒絶査定不服の審決
【審判番号】  不服2024-4996 

【本願商標】 

 

  30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」
  *引用商標1,2は補正により解消
【引用商標3】 
  35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」他
  *引用商標1, 2は補正により解消

【適用条項】  4条1項11
【結論】    本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標について (下線は筆者、以下同様)
「サンカフード」の片仮名を上段に、上段の文字より大きく「Sanka Food」の欧文字を下段に表してなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと理解されるものである

 そして、本願商標の構成中、「Sanka」の文字が一般的な辞書等に掲載された成語ではなく、「Food」の文字部分が、「食物,食糧,食料;(飲み物に対して)食べ物」等の意味を有する親しまれた英単語であって、本願の指定商品が食品であることからすれば、本願商標の構成中の「Food」及び「フード」の文字部分は、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能が弱いといえる。

 そうすると、本願商標は、その構成文字全体に相応して、「サンカフード」の称呼を生じるほか、「Sanka」及び「サンカ」の文字に相応した「サンカ」の称呼をも生じ、特定の観念は生じない。

引用商標について
左側の図形部分と右側の文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、両者を常に一体不可分のものとして把握しなければならない特別の事情は見いだし得ないものであるから、それぞれが要部として独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。

 そこで、文字部分について検討すると、下段の「SANKA」の欧文字は、上段の「燦花」の漢字の読みを欧文字で表記したものと看取されるものの、「燦花」の漢字に比して、相当に小さく表されている。

 そうすると、引用商標3の文字部分の構成からすれば、下段の「SANKA」の欧文字は、上段の「燦花」の漢字の読みを表記した付記的なものと理解、認識されるものというのが相当であるから、自他役務の識別力を発揮する要部とは認識されないものである。

 したがって、引用商標3の文字部分においては、「燦花」の漢字が、強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分のみを要部として抽出することができるものである。

 してみれば、引用商標3は、その構成中の文字部分に相応して「サンカ」の称呼を生じ、要部である「燦花」の文字部分は、我が国の一般的な辞書類等に採録された成語とは認められないものの、「燦」及び「花」の構成各語の意味合いに応じた、「きらびやかな花」ほどの漠然とした観念を生じる。

 なお、引用商標3の図形部分からは特定の称呼及び観念は生じない。

類否判断
本願商標と引用商標3の要部とは、「サンカ」の称呼において同一の場合があるとしても、本願商標が「サンカフード」の称呼を生ずるときには明瞭に聴別できるものであり、外観において明確に区別できるものであり、観念において相紛れないことからすれば、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、本願商標と引用商標3は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。

コメント
 引用商標3には欧文字「SANKA」が含まれているものの、漢字の読みを表した付記的なものとして、「Sanka」と「燦花」をそれぞれの要部として判断がされています。結果、外観及び観念の相違により、非類似の商標と判断されました。漢字をメインとして用いる場合には、欧文字の記載方法(大きさ、位置など)をどのようにするかもしっかり検討することで先行商標と区別できるようになるかもしれません。

 

【種別】    拒絶査定不服の審決
【審判番号】  不服2024-5430

【本願商標】 
  第25類「レインコート,被服,レインハット,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,レインシューズ,レインブーツ,長靴,履物」
【引用商標】
  第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」

【適用条項】  4条1項11号
【結論】    本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標について
本願商標の構成中の「RE:」は「リ」と発音し、「手紙や電子メールの冒頭で、返信の印として用いる記号。」として用いられる語であり、「PET」は「ペット」と発音し、「愛玩動物、ペット」等の意味を有する語であるとしても、本願商標は構成各文字が同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表されており、その構成文字全体から生じ得る「リペット」又はローマ字読み風の「レペット」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、その構成全体で一種の造語を表したものとみることができる。

 また、本願商標の構成全体からは指定商品の取引者、需要者に直ちに特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえない。

 したがって、本願商標からは、その全体の構成文字に相応した、「リペット」及び「レペット」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。

引用商標について
下段の「リーペット」の片仮名は、上段の「REPET」の欧文字の下部にまとまりよく配されているものであって、当該欧文字の読みを特定したものと容易に理解し得るものであり、また、その構成文字は指定商品の取引者、需要者に直ちに特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえない。

したがって、引用商標からは、「REPET」の文字に付された片仮名に相応して「リーペット」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。

類否判断
 本願商標と引用商標とを比較するに、その外観においては、本願商標は、「RE」の後に「:」を有し、手紙や電子メールの返信のごとき印象を与えるのに対し、引用商標は、2文字目の「E」の上部にフランス語のアクサン・シルコンフレシックス記号及び片仮名を有し、フランス語風の印象を与えるものであり、両者は構成文字の相違等において判然と区別し得るものである。

 また、称呼においては、本願商標より生じる「リペット」の称呼と引用商標より生じる「リーペット」においては、全体が4音ないし5音の短い音構成にあって、長音の有無が全体の称呼に与える影響は小さいものとはいえず、本願商標より生じる「レペット」の称呼と引用商標より生じる「リーペット」においても、語頭の「レ」と「リ」の差異及び長音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものではないから、それぞれ一連に称呼した場合、両称呼は明瞭に聴別し得るものである。

 さらに、観念においては、いずれも特定の観念を生じないことから、比較できないものである。

 そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、これらの外観、観念及び称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

コメント
 本願商標の冒頭部分について、「RE:」部分を手紙や電子メールの冒頭で返信の印として用いるものと認定した上で外観から受ける印象の差異について言及しつつも、本願商標の称呼特定においてはローマ字風の「レペット」も生じ得るとしている点に少々座りの悪さを覚えますが、最終的に非類似という判断自体は首肯できるものと考えます。

【種別】    拒絶査定不服の審決
【審判番号】  不服2024-8760
【本願商標】  日日麦茶(標準文字)
         第30類「麦茶,ほうじ茶入り麦茶」
【引用商標】  日日茶(標準文字)
         第30類「茶,ハーブ茶」他
         第35, 41~43類 省略
【適用条項】  4条1項11号
【結論】    本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標について
同書、同大で、まとまりよく一体に表され、該文字から生じる「ニチニチムギチャ」、「ヒビムギチャ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

 そして、本願商標の構成中の「日日」の文字は「ひび。日ごと。毎日。」等を、「麦茶」の文字は「大麦を殻付きのまま炒いって茶の葉の代りとするもの。また、それを煎じた湯。」を意味する語であるから、本願商標は、その構成全体から「毎日の麦茶」程の一連の観念を理解させるものである。

 そうすると、本願商標のかかる構成、称呼及び観念からすれば、ことさらに、その構成中、「麦茶」の文字部分を捨象して、「日日」の文字部分のみに着目し、これのみをもって取引に資されるというよりは、むしろ構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握され、取引されるとみるのが自然である

 してみると、本願商標からは、その構成文字全体に相応して、「ニチニチムギチャ」、「ヒビムギチャ」の一連の称呼及び「毎日の麦茶」の観念のみを生じるものとみるのが相当である。

判断
 したがって、本願商標より、「日日」の部分を分離抽出して、「ニチニチ」、「ヒビ」の称呼及び「毎日」の観念をも生ずるとし、その上で、本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。

コメント
 引用商標についての言及がされることなく、本願商標から「日日」部分を分離抽出することはないとして登録が認められた事案です。確かに「茶」が指定商品の普通名称であるとしても、この構成から「日日」部分を抜き出すというのは違和感があります。とはいえ、拒絶査定にはされているわけですから、調査においてこのような関係の先行商標がある場合には十分な注意が必要です。

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

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