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豆知識

2024.12.15

商標Q&A 第15回 類似群コードとは何ですか?

商標Q&A 第15回 類似群コードとは何ですか?

Q: 商標調査を行う際などに、「類似群コード」というものを使うと聞きました。類似群コードとは何ですか?

A: 例えば、「スーツ」と「ネクタイ」がここにあるとしましょう。これらは似ていますか?と聞かれて、ある人は「どちらも紳士服売り場で買えるし、どちらもビジネスシーンで身につけるものだし、似てるんじゃない?」と感じるでしょうし、ある人は「いやいや、紳士服売り場ではいろいろなものが売られているし、ビジネスシーンで身につけるものなんて靴やカバンなども入れたら色々あるんだし、似てないでしょ?」と感じるかもしれません。この「スーツとネクタイが似ているかどうか」の判断を、審査官個人の判断に委ねず、あらかじめルール化しておいたら分かりやすいよね、というのが我が国の商標行政における考え方でして、そこで用いられる概念や固有番号が「類似群」や「類似群コード」と呼ばれるものになります。以下、詳しく説明していきますね。

 特許庁は、似ている(この概念を「類似」といいます)商品や役務をあらかじめグループ(これを「類似群」といいます)化し、これを審査基準(「類似商品・役務審査基準」、以下単に「審査基準」といいます)として公開しています。また、この審査基準では類似群ごとに固有の番号が付されておりまして、このコードこそが「類似群コード」と呼ばれるものになります。

 なぜ、類似する商品や役務をあらかじめグループ化しておく必要があるのでしょう。それは、出願された商標と既存の登録商標とが互いに抵触するものであるかどうかを判断するうえで、①商標が類似するかどうか、②商品・役務が類似するかどうか、という2つの観点から考える必要があるためです(これはあくまでも我が国における商標実務となりますので、国によって考え方は異なります)。

 商標の類似という概念はまた改めてお話するとしまして、商品・役務が類似するかどうかを審査官ごとの判断に任せずに審査基準にあらかじめ定めておこう、というのが我が国における商品・役務の類似に対する考え方になります。こうすることで、大量の出願を効率よく審査することができることに加えて、出願前に精度の高い調査を行えることで商標の登録性を予見しやすくなるというメリットもあります。

 さて、この類似群ですが、同じ類似群に属する商品・役務同士は類似するものとして、また、異なる類似群に属する商品・役務同士は類似しない(この概念を「非類似」といいます)ものとして、審査上扱われる(推定される)ことになります。冒頭の「スーツ」と「ネクタイ」の例でいえば、これらは異なる類似群に属する商品同士になりますので、実は「非類似」の商品ということになります。

 さきほど、類似群ごとに固有の番号(コード)が振られていると述べました。例えば、「スーツ」や「コード」などは同じ類似群に属するのですが、この類似群には「17A01」というコードが付されています。また「ネクタイ」や「靴下」なども同じ類似群に属しまして、こちらには「17A04」というコードが付されています。つまり、同じ類似群コードが振られている商品同士は同じ類似群に属する(類似である)と言えますし、異なる類似群コードが振られている商品同士は異なる類似群に属する(非類似である)と言えます。先程の例では、17A01の商品である「スーツ」と、17A04の商品である「ネクタイ」は「非類似である」と判断できる訳ですね。

 では、この類似群コードが商標調査とどう関係するのでしょう。「いろは」という商標を「コート」について登録・使用できるかどうかを知るには、他人が「いろは」に似ている商標を「コート」に似ている商品について先に出願・登録していないかどうかを調べる必要があります。この際、単に「いろは」に似ている商標を検索してしまうと、「コート」とは関係のない商品に係る先行商標が沢山ヒットしてしまって大変です。そこで、「コート」の類似群コードである17A01に絞って検索をかけると、類似する商品を指定している先行商標だけをみることができる訳です。「類似群コード」がとても便利で重要なものがわかっていただけたでしょうか。

 実はこの「類似群コード」については例外や留意点、コードの意味など色々とお話したいことが山積みなのですが、長くなってしまいますので、今回はここまでにしておきましょう。続きはまた次回をお楽しみに!

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