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事例紹介

2024.08.17

図形の識別力 [弁理士 德永 弥生]

図形の識別力 [弁理士 德永 弥生]

【審判番号】異議2022-900501
【本件商標】

    

 

 


 第25類「被服」他

【異議理由】商標法第4条第1項第7号、11号、15号

【引用各商標(国際登録第1444411号他1件)】

 

 

 


【取消理由】
商標法第3条第1項第5号
【結論】登録第6618422号商標の商標登録を取り消す。

【当審の判断】
本件商標の商標法第3条第1項第5号該当性について

 本件商標は、別掲1のとおり、扇の形状を輪郭線で表したもの(以下「扇図形」という。)であるところ、扇図形は、線の太さに若干の広狭があるものの、これは、扇の形状を輪郭線で表したにすぎないものであり、輪郭図形、背景図形、標章の輪郭や枠を表示する場合に、普通に採択される図形である

 そして、別掲5のとおり、扇図形は、実際に、輪郭図形、背景図形、標章の輪郭や枠を表すものとして、一般に使用されている事実がある。

 そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、ありふれた扇の形状を輪郭線で表したものと認識するにとどまり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものであるから、自他商品の識別標識とは認識しないというべきである。

 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する

 異議申立人は本件商標登録に対し、引用各商標との類似、混同のおそれ等を理由に異議を申し立てましたが、審判官はそれらの理由には該当しないと判断しました。一方で、審判官は職権で審理を行い、本件商標は極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものであり3条1項5号に該当するとして、登録を取り消す判断を行いました(商標権者はこの取消理由に対し意見を述べていません。)。

 本件商標は輪郭線の太さが一定ではないことからも、単なる輪郭図形や背景図形と認識されるものとは言えないと考えますが、審判官は職権審理までして本件商標は識別力がないと判断しました。ここ数年、特許庁における識別力の判断がかなり厳しくなっていますが、図形の識別力の判断にも影響が及んでいるようです。ただ、本件については、これまでの図形の識別力の判断と比べて厳しすぎるように感じます。

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