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豆知識

2024.03.15

商標Q&A 第6回 商標が登録されるための条件とは

商標Q&A 第6回  商標が登録されるための条件とは

Q:商標は登録を希望しても登録してもらえない場合があると聞きました。どのような場合に登録が認められないのでしょうか。

A:これはうちの商品ですよ!うちのサービスですよ!というように、商取引において「私達の商品/サービスです」ということを示すための目印である商標は、登録をすることで、商標権という非常に強力な独占排他権がもらえます。そのため、誰もが自分の商標を「登録したい!」と望んで登録申請手続(この手続きのことを「出願」といいます。)するのですが、どのような商標でも無条件で登録が認められる訳ではありません。商標について登録が認められるための条件(法律用語で「要件」といいます。)は、大きく3つあります。

まず1つ目。商標は、誰の商品か/サービスかが区別できる「目印」になるものでなくてはなりません。商品「チョコレート」に、「チョコレート」と書かれていると、この文字を見たひとは「あ、チョコレートというブランドのチョコレートだ!」などとは思いませんよね。単に、「このお菓子は、ガムや飴ちゃんではなく、チョコレートなんだな」と考えるにすぎません。この場合、商品「チョコレート」について「チョコレート」という商標を登録したい!と特許庁に対して出願を行っても、商品との関係では「チョコレート」は普通名称に過ぎないため、目印として認識されない(法律上は「自他商品役務識別力を有しない」と表現します。)ものとして登録が拒絶されてしまいます。この「自他商品役務識別力」についてはまた改めて詳しく解説しましょう。

次に2つ目。商標は、公益に反するものであってはなりません。商標を登録したい!という出願人の希望(登録を受ける利益)も尊重されるべきですが、商標を登録することで公益を害する結果を招かないように、公益保護の観点から登録して良い商標であるかどうか、特許庁において審査がなされます。例えば、国の国旗や、オリンピックのマーク、公益性が高くとても有名なマーク(NHKなど)といったものは、一私人だけに独占させるのは妥当ではありませんよね。また、明らかに公序良俗に反するような矯激卑猥な商標や、他人の商標と知りながら不正の目的をもって商道徳に反するような形で先取りしようとする商標についても、独占排他権を与えるのは妥当ではありません。そういう公益的な観点から、登録を認めて良いか否かの審査がなされます。

そして、3つ目。他人の既得権と抵触する商標であるかどうかがチェックされます。商標権は独占排他権ですから、原則として、重複する範囲について異なるものに複数の独占権を認めるわけにはいきません。そのため、出願された商標と同じであったり似ていたりする商標が先に他人によって抵触する分野において出願され登録に至っているような場合は、当該他人の先登録商標との抵触を理由に登録が拒絶されることとなります。その他、登録はされていないけれどもその分野で既に有名になっている他人の商標があったり、違う分野だけれども全国的にとても有名(著名、といいます。)な他人の商標があったりすると、これらとの抵触や混同を理由に登録が拒絶されることもあります。

この3つの要件をクリアした商標は、晴れて登録が認められ、商標権が付与されることになります。大まかなイメージを掴んでいただけましたでしょうか。1〜3それぞれの要件につきましては、また稿を改めて解説することにしましょう。

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