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事例紹介

2024.02.15

異議(4条1項7号該当で登録取消)[弁理士 德永 弥生]

異議(4条1項7号該当で登録取消)[弁理士 德永 弥生]

 冒認出願と思われる登録商標が、異議申立で4条1項7号に該当するとして登録取消となった審決をご紹介します。

【審判番号】異議2022-900214
【本件商標】CATKIN(標準文字)
      第3類「口紅,化粧品,歯磨き,せっけん類,香料,薫料」

【引用商標】

(中国登録商標)

      第3類「洗顔料,バスローション,化粧品等」

【登録異議の申立ての理由】商標法417,10,15,19
【結論】登録第6527701号商標の商標登録を取り消す。(4条1項7号該当)

【当審の判断】
2 商標法第4条第1項第7号について
 ウ 本件商標の登録出願の経緯等
 (ア)上記1のとおり、使用商品は、我が国において本件商標の登録出願の日前から紹介、販売されていたものである。

 また、商標権者は、日本で知られていない世界中の商品などをピックアップし、多くの人に広めることなどを事業内容としているところ、商標権者による19件の商標登録出願は、その指定商品及び指定役務の分野が広範囲にわたり、その内2件は商標権者以外のメーカーの商品に使用されている商標と同一と認められる商標の出願である

 そして、上記ア及びイのとおり、本件商標は使用商標と同一又は酷似するものであり、その指定商品は使用商品を含むものである。

 加えて、本件商標「CATKIN」の文字(語)は、「尾状花序」などの意味を有する英単語であるが(甲6)、我が国で親しまれた語ではなく特徴的な語といえるものである。

 (イ)上記(ア)の事情をあわせ考慮すれば、商標権者は、偶然に、使用商標と同一又は酷似する本件商標を、使用商品を含む商品を指定商品として登録出願したとは考え難く、使用商標の存在を知った上で、それが我が国において商標登録されていないことを奇貨として、申立人による使用商標の使用を阻止ないし困難にするなどの不正の目的をもって、本件商標を登録出願したものとみるのが相当である。

 本件は、商標権者が申立人に対して登録商標の高額買取を要求したなどの、明らかに図利加害目的といえるような事情はなかったものの、4条1項7号に該当すると判断されました。本件商標が7号に該当するとされたのは、商標権者が、使用する意思がないのに他人の商標を含む多数の商標を出願登録していた点がポイントだと考えます。

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