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豆知識

2023.11.15

商標Q&A 第2回 普通書体vs ロゴ、どちらで商標出願をするべき?

商標Q&A 第2回 普通書体vs ロゴ、どちらで商標出願をするべき?

Q:デザイン要素を含んだロゴ態様で登録するよりも、シンプルな文字だけで商標を登録した方が権利は広くなるのでしょうか。

A:いいえ。デザイン要素を含む商標と普通書体(標準文字を含む)の商標とでは、「権利範囲が異なる」というのが答えになります。権利が広いか狭いか、という話ではないんですよね。

 商標出願のご依頼を頂く際に「普通書体(標準文字)での権利化のほうがオトクと聞いたのですが…ロゴではなく、普通書体での登録のほうがいいんですよね?」ということをおっしゃる方がいらっしゃいます。果たして、本当にそうでしょうか。例えば、以下のような態様からなる商標「abc」を使い始めたとしましょう。

 

この場合、このままの態様で商標登録をするか、もしくは、「abc」という普通書体で登録するか、悩ましいところですよね。商標登録を行った後に模倣商品が出てきまして、以下のような商標が付されていたとしましょう。明らかに悪意を感じられる商標で、こんな紛らわしい商標の使用はやめて欲しいところです。

 

 ただ、「abc」という普通書体(標準文字)のみで商標登録している場合、「abc」と「adc」は似ていませんから、商標権侵害を理由に模倣品を止めるのは少々難しくなってしまいます。その一方で、デザイン要素を含めたロゴ態様で「abc」を登録している場合は、外観的にとても紛らわしい商標だということになり、商標権侵害訴訟において戦いやすくなります。

 日本ではここまで露骨に似せてくる模倣業者は少ないかもしれませんが、海外ではこのような模倣は日常茶飯事です。つまり、海外展開するような商標であれば、普通書体の登録だけでは足りない場合があり、現に使用しているロゴ態様で商標登録を行っておくことが模倣対策上とても大切になってきます。

 ただ、常にロゴ態様(デザイン要素を含む態様)で商標登録をすることが良いとも限りません。デザインの策定に時間をかけるあまり、商標出願のタイミングが遅れ、他人が先に似ている商標を出願してしまったら本末転倒です。ロゴのデザインがまだ固まっていない場合や、将来的に変更となる可能性があるような場合は、特定のデザインを含むロゴ態様で商標出願をせずに、ひとまず、普通書体(標準文字)での出願&権利化を図ることも検討すべきでしょう。また、読みにくい文字からなるロゴの場合は、ロゴ態様のみの権利化は避けるべきで、しっかりと普通書体(標準文字)での権利化も行っておくべきです。

 普通書体(標準文字)でいくかロゴでいくか。どちらも出せば良いのですが、費用的にどちらかに絞りたいという要望も多いかと思いますし、判断に悩まれることも多いかと思います。そのような場合はぜひお気軽に当所へご相談下さい。状況をしっかりヒアリングさせて頂いた上で、どのような態様で商標を出願するのがお客様にとってベストであるか、喜んでアドバイスさせて頂きます!

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