TRADE MARK TOPICS

事例紹介

2026.02.15

一体性があると判断された商標 [弁理士 德永 弥生]

一体性があり一部分のみが分離抽出されず、引用商標とは非類似と判断された審決をご紹介します。

【審判番号】  不服2025-005675

【本願商標】 第3類「せっけん,化粧品」他
【引用商標】  第3類「せっけん,化粧品」他
【結論】 本願商標は、登録すべきものとする。  


■当審の判断
 本願商標の構成中の「SAINT-CLAIR」の文字は、「SAINT」及び「CLAIR」の文字を「-」(ハイフン)で介し、構成各文字の間に半角文字分のスペースはあるものの、いずれも同じ書体、大きさ及び色彩で、横一列に表されており、外観上、一体的に看取し得るものといえる。

 そして、同構成中の「SAINT」の文字は「聖なる,神聖な」等を、「CLAIR」の文字は「明るい,光」等をそれぞれ意味するフランス語(出典:「クラウン仏和辞典第4版」株式会社三省堂)であり、「BY」の文字は「…によって」等を、「JOSEPH」の文字は「ジョーゼフ(男性名)」等をそれぞれ意味する英語(出典:「新英和中辞典第7版」株式会社研究社)であり、「DUCLOS」の文字は、辞書等に記載されている語ではなく、我が国において、特定の意味を有する語として一般に広く知られているとはいい難いものであるところ、本願の指定商品との関係において、各語の識別力に、特に軽重の差を見出すことはできないものである。

 また、本願商標の構成全体から生じる「サンクレールバイジョセフデュクロス」及び「セイントクレアバイジョセフデュクロス」の称呼はやや冗長であるものの、無理なく一連に称呼し得るものである。
・・・取引者、需要者は、本願商標を一体不可分の造語よりなるものと認識、理解するとみるのが相当であり、その構成中、「SAINT-CLAIR」の文字部分を分離抽出し、この部分だけを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することは許されないというべきである。

コメント
 「〇〇 By △△」という商標は、通常はByの前後で分離されて、それぞれの部分から生じる称呼・観念をもって類否判断がされます。しかし、本件は全体で一体不可分であり、「SAINT-CLAIR」の文字部分のみが分離抽出されないと判断されました。

【審判番号】 不服2025-7614
【結論】   本願商標は、登録すべきものとする。

【本件商標】 第25類「被服」他
【引用商標】 ランド/LAND(2段併記)  第25類「被服」


■当審の判断
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、「laundry」の欧文字と「LAND」の欧文字は、同色で、それぞれの中心をそろえて上下二段に近接して表されていることに加えて、図形枠内の中央に配置され、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。

 また、本願商標の図形枠内の「laundry LAND」の欧文字から生じるランドリーランド」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであり、「laundry」の欧文字は「洗濯」、「LAND」の欧文字は「国」(いずれも「ジーニアス英和辞典 第6版」大修館書店)の意味を有する語であるから、「laundry LAND」の欧文字からは、洗濯の国」ほどの観念が生じるものである。

 そして、本願商標の指定商品との関係において、「laundry」の文字部分から商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないというべき事情も見いだせない。

 さらに、本願商標の構成中、「LAND」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。

 加えて、本願商標の図形の下部には「Enjoy Wearing ‘Laundry Land’」の欧文字を配してなるところ、「Laundry Land」の欧文字部分がクォーテーションマーク(引用符)で囲われていることも相まって、図形枠内の「laundry LAND」が一連一体であるということを取引者、需要者に印象づけるものといえる。

 そうすると、本願商標に接する需要者は、殊更構成中の「LAND」の文字部分のみに着目するとはいい難い。

 以上よりすれば、本願商標の構成中、「LAND」の文字部分を分離抽出し、この部分だけを引用商標と比較して、本願商標と引用商標の類否を判断することは許されないというべきである。

コメント
 「laundry」と「LAND」の文字は書体や大きさが異なるものの、全体としてまとまりよく構成されているため、ここから「LAND」の文字部分のみが分離抽出されないと判断されました。‘Laundry Land’と書かれていることもポイントのひとつかと思います。

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。
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