TRADE MARK TOPICS

豆知識

2025.10.15

【商標Q&A 第25回:ブランディングって何ですか(その2)】

【商標Q&A 第25回:ブランディングって何ですか(その2)】

Q: 我が社は今までブランドというものを意識していなかったのですが、付き合いのある経営コンサルタントから、「社長、せっかく良いものを作っているのですから、ちゃんとブランディングしないとダメですよ」とアドバイスをもらいました。「ブランディングって何をするのですか?」と質問しても、「それはブランディングの専門家に聞いてください。私はそちらの専門ではないので…」とはぐらかされてしまいました。ブランディングって、一体何を意味する言葉で、何をすればいいのですか?

A: 前回は、ブランディングの意味と、そもそも論としてブランドとは何か、というお話をさせていただきました。今回は、ブランディングって何をすればいいのか、具体的にお話をしてみたいと思います。

 ブランドとは、作り手の「こだわり」や「想い」、そして顧客の「期待」や「信頼」といった感情が織り込まれたイメージの総体であることを前回お話させていただきました。ブランドを構築するにあたっては、この「こだわり」や「想い」の確認がとても大切になります。

 例えばコーポレートブランドを考えてみましょう。その会社は、誰が、なぜ、作り出したのでしょう。どうして創業者はこの事業を選んだのでしょう。社会において、どういう貢献を行い、どういう存在理由を見出したかったのでしょう。人間が行うことですから、そこには何らかの「動機」があった筈です。創業者さんが現役でいらっしゃる場合は、これらの想いを掘り起こし確認していくことで、その会社がなぜ生まれたのか、何を目指しているのか、そのあたりが見えてきます。「単に金儲けがしたかったんや」とおっしゃる社長もいるかもしれません。では、なぜお金が欲しかったのでしょう。なぜ、金儲けの手段として今の事業を選ばれたのでしょう。どこに魅力を感じて今の社員さんたちが会社へ集まったのでしょう。実は子供の頃に苦労されたので自分の子供には楽をさせたいからお金に執着されているのかもしれませんし、今の事業は尊敬する先輩の背中をみて「自分もやってみよう」と思ったのかもしれませんし、社長さんの人柄に惹かれて社員さんが集まっているのかもしれません。会社として存在している以上、そこには何らかの存在理由があるように感じます。それが会社としての「らしさ」にも繋がっていきます。子供たちが元気に幸せに育てる環境を作り出したい、尊敬する先輩のように業界内の後進者を育てる存在でありたい、社長の人柄のような良さをもった組織であり続けたい…、社長は単に「金儲けできたらええんや」と言われるかもしれませんが、根底にはしっかりとしたこだわりや想いがあるかもしれません。ブランドの構築は、こういった想いを掘り起こし、確認していく作業からスタートします。これがとても大切です。

 マーケティングの考え方からすると、市場から何が求められているか、競合が少ないブルーオーシャンはどこか、強みを伸ばすか弱みをなくすか等々、客観的・合理的な分析のもとで事業戦略を立てていくことになります。ブランディングにおいてもこれらは大切ですが、ブランディングでは根底にある主観的な「想い」や「こだわり」を内部(社内)でいかに共有し、外部(顧客)にどう伝えていくか、この視点を常に持ち続けるのが特徴かと感じます。

 コーポレートブランドの場合、こういった創業者や現経営層の「想い」の確認作業を通じて、会社が大切にしているものは何か、こだわりは何か、そのあたりが見えてきます。それを経営層がぼんやりと思っているだけでは内部へも外部へも伝えていけませんので、まずはこれらを言語化し、見える化する必要があります。それがいわゆるブランド・アイデンティティ(ブランドの個性)であったり、ブランド・プロミス(顧客への約束)だったりする訳です。よく耳にする「経営理念」というのも、経営者の想いを文字にしたものですよね。経営理念もブランディングの上では自社の想いを見える化している点でとても大切ですが、経営理念は経営者の経営哲学であったり社員に対するメッセージであったりと内向的な性格が強いのに対して、ブランドとは会社の想いと顧客のイメージの総体ですから、ブランド・アイデンティティは内部だけでなく「外部」にも伝えるべき想いである点で少し経営理念と異なります。また、これらが少々抽象的な概念であるのに対して、ブランド・プロミスはどういう価値を顧客へ提供するのかという、より具体的な約束事を文字化したものになります。何となく、イメージを掴んでいただけましたでしょうか。

 今回はブランドの構築に大切な想いの確認の部分についてお話をさせていただきました。次回は、この想いをどう外部に伝えていくか、そのあたりについてお話ができたらと思います。なかなか「知財」や「商標」が出てきませんね。ブランディングにおいてこれらが登場するのはもう少し先の話になります。

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

お問合わせ