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豆知識

2025.08.18

【商標Q&A 第23回:知財初心者は何から学べばいいですか】

【商標Q&A 第23回:知財初心者は何から学べばいいですか】

Q: 社内の人事異動で、知的財産部に配属となり、商標業務を担当することとなりました。経済学部出身ですので、今まで知的財産権法はおろか、法律というものを学んだことがありません。基本的な知識を身につけたいのですが、何から学べばよいでしょうか。

A: そのお気持ち、とても良くわかります!私も社会学部出身で法律とは無縁のところから知財業界に飛び込みましたので、最初は法令集をどこで買えばいいのか、政令や省令、様式というのはどこに記載されているのか、根本的なところからさっぱりわかっておりませんでした。その点、今はインターネットでも情報を集められるので、便利な時代になりましたね!

 企業知財部への配属でしたら、まずは本屋さんで「知財管理技能検定」の3級テキストというものを購入してみてはどうでしょうか。この検定は、国家検定である技能検定の一種でして、「知的財産管理」という職種に必要な技能・知識を学ぶことができます。知財検定3級では広く浅く知的財産というものが何であるのかを学ぶことができますので、知的財産を知る「入り口」としては最適ではないかと感じています。同検定は中級の2級、上級の1級…とステップアップもしていけますから、その点も魅力ではないでしょうか。

 また、知的財産権法というのは、民法という民事の基本的なルールを定めている法律(一般法)のうち、特許や商標といった個別の無体財産を対象とする法律(特別法)にあたりますので、学生時代に法律を学んでいない方は、まずは知的財産権法のベースとなる「民法」を知るところから始めるのもオススメです。私の場合は、伊藤真先生の「民法入門」で基本的なところを学ばせていただきました。 ”ビジネスパーソンに圧倒的に支持されている”という謳い文句に嘘偽りなく、私のような法学初心者にもとてもわかり易い良書でしたよ!

 法律は、デジタル庁が整備・運営している「e-gov」というサイトから、「法令検索」を使って閲覧することができます。便利な時代になりました!手元に法令集を置いておきたいという方は、知財に特化した法令集である「工業所有権(産業財産権)法令集」が発明推進協会から発売されています。ただ、とっても分厚くて手軽に持ち運べる大きさではありません。そこまで大きくなくていいんだけど…という方は、同じく発明推進協会から出ているポケットサイズの「知的財産権法文集」も良いかもしれませんね。

 以前は特許庁からオフィシャルな初学者用テキストとして「産業財産権標準テキスト」というシリーズが発売されており、初学者さんにはよくオススメさせていただいておりました。ただ、残念ながらこちらのシリーズはコロナ前から改訂が止まってしまっています。代わりのものとしては、「知的財産権スターターガイド」という書籍が産業財産権標準テキストの後継と謳われて今年(2025年)に発明推進協会から発売されましたので、こちらを手にされるのも良いかもしれませんね。このスターターガイドは特許庁オフィシャルではなく、弁理士さん個人の書籍となります。

 少し文字が多くても良いなら、特許庁が毎年開催している「知的財産権精度説明会」の「入門テキスト」を読むのも良いでしょう。こちらは毎年改訂されておりまして、特許庁のウェブサイトから無料でダウンロードすることができます。とても充実していて良いテキストなのですが、一点だけ残念な点があるとすれば、特許庁の公式テキストのため、管轄外の「著作権」は含まれておりません(著作権は文科省の「文化庁」管轄となります)。著作権については、著作権情報センターから出版されている文化庁編著「著作権法入門」が定番の入門書かと思います。こちらも毎年改訂版が出ています。

 意外と難しいのが、商標に特化した入門書かもしれません。色々と出版されているのですが、完全に初学者をターゲットにした平易な入門書というものがなく、なかなか「これがいいですよ!」と言いにくいように感じます。いっそのこと、自分で書いちゃえばいいんですけどね(笑)

 未経験での知的財産部配属やいきなりの商標業務は大変だと思います。上手に外部の専門家をご活用いただきつつ、お困りのことなどあればお気軽に弊所へご相談いただけますと幸いです!

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

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