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豆知識

2026.01.15

【商標Q&A 第27回:日本国旗を商品ラベルに入れることの是非】

【商標Q&A 第27回:日本国旗を商品ラベルに入れることの是非】

さて、この商標Q&Aにおいて、商標の不登録事由(4条1項各号)を条文に沿って解説してみようと思います。19号までありますので、しばらくお付き合いくださいませ。それでは、まずは4条1項1号からみていきましょう!

Q: 当社は日本酒を製造販売しています。海外観光客などインバウンド向けの新製品を国内で売り出そうと思います。日本が好きな海外の人たちに向けて日本らしいデザインのお酒としたく、ラベルに「日の丸」を取り入れようと思うのですが、知財の点から注意しておくべきことなどありますでしょうか。

A: 日本製品であることを海外の人にわかってもらうための方法は色々と考えられますが(日本的なデザインを用いる、平仮名やカタカナといった日本独自の文字種を入れ込む、ストレートにJAPANの文字を入れ込む等)、日本の国旗である「日の丸」を使いたいというのも分かります。ただ、知財の観点からすると、少し注意が必要です。

 商標法4条1項1号では、「次に掲げる商標については、商標登録を受けることができない。一 国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標」と定められており、「国旗」と同一又は類似の商標については登録ができない、と定められています。国旗そのものであったり、国旗を模した商標などであったりすると、この規定により商標登録ができない、ということになります。

 では、本件のように、国旗そのものではなく、その「一部」に国旗を用いる、という場合はどうでしょうか。実はこの場合も本号の適用があり得ますので注意が必要です。もちろん、国旗を含まない態様の商標で出願すれば拒絶されることもないのですが、お酒の場合はラベルそのものをいわゆる「ラベル商標」としてそのまま権利化することも少なくないため、その一部に日の丸を含めたままで出願をしてしまうと、4条1項1号により拒絶されてしまう可能性がでてきます。具体的な事例をみてみましょう。

 例えば、以下の2つの商標は商標の一部にスウェーデン国旗状の図形や米国の星条旗状の図形を含むものですが、いずれも審査段階では4条1項1号に該当する(つまり、「国旗」に類似する)として拒絶査定となっています(スウェーデン国旗事案については不服審判を経て登録)。このように、商標の「一部」に国旗を含むに過ぎないような場合も、本号によって拒絶される可能性がありますので注意を要します。

 日本の国旗ですが、出願人としては日の丸を意図していなくても、日の丸と認識され得るような商標であれば拒絶される可能性があります。例えば、以下は70℃においてオレンジ色になるという温度センサを意図した出願かと思いますが(指定商品「温度センサ」)、白地にオレンジ円図形が日の丸を想起させるとして、本号により拒絶査定となっています(こちらも不服審判を経て登録)。

 国旗そのものの商標であったり、国旗に類似する商標であったりすると「登録」できないことはご理解いただけたと思います。それでは、国旗を商標として「使用」することについてはどうでしょうか。こちらは不正競争防止法16条に「何人も、外国の国旗と同一若しくは類似のものを商標として使用してはならない。」と規定されております。商標法では「国旗」及び「外国の国旗」と規定されておりますが、不正競争防止法では「外国の国旗」のみが規定されているため、日本の国旗は対象外となっています。

 まとめますと、日本で販売する日本の商品に日の丸をデザインの一部に取り入れて使用することについては不正競争防止法上問題がないものの、日の丸を含んだ態様の商標を登録しようとすると4条1項1号で拒絶される可能性がありますのでお気をつけください。

 他には、外国から国旗の使用許可を得た場合には商標登録できるのか、とか、万国旗のように複数の国旗を含む商標はどう判断されるのか、等々、色々と面白いポイントもあるのですが、ここでは割愛させていただきますね。ご興味のある方はぜひ弊所へお気軽にお声がけください。喜んで説明させていただきます!

※本件記事の情報は、執筆時点で入手可能な法令・判例等に基づいて作成した一般的な解説です。最新の法令・判例と異なる場合や、個別の事案には必ずしも適合しない場合があります。具体的な対応が必要な場合は、弁理士にご相談いただくようお願いいたします。

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